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主要な価値創造モデルとその評価(78):戦後日本のドル収入最大化モデルー24

 今回は、前回のテーマ「GDP-GNPモデル」の補足です。前シリーズの中では、経済構造の変化に対応して、推計方法が常時見直されていることを紹介しました。わが国では内閣府が中心になって最近の国連の基準を取り入れ、過去の実績値の見直し作業が行われていました。そしてこのほど、新しい推計値が発表されました。12月9日付の日本経済新聞紙の記事を中心に、その概要を紹介しておきましょう。
 まず、2015年度のGDPの確報値の、上方修正です。企業の研究開発費を国連の推計基準に従って正式にGDP に加算したことが大きく貢献して、GDPは改定前の500.6兆円から532.2兆円へと、大きく増えたのです。この結果、同年の名目成長率は2.8%に高まりました。
 これまでは単なる経費として扱われていた研究開発費が、「投資」に加えられることになった結果です。これを反映して、企業の設備投資が19.2兆円増えたのです。これについて内閣府では、「研究開発費は企業の新製品開発に貢献しており、失敗も含めて広い意味で製品化に貢献している」と言っています。そのほかで上方改定に貢献したものとして、特許使用料3.1兆円増、防衛装備品0.6兆円増、不動産仲介手数料0.9兆円増、それに最新の経済統計を反映した増加分7.5兆円などとなっています。防衛装備品は従来はGDPの対象外にされていましたが、今回から含まれるようになったものです。
 また、消費税引き上げの行われた2014年度の実質成長率も、0.9%のマイナスから0.4%のマイナスに「上方」改定されました。消費税引き上げの景気への影響は、言われていたほどには大きくなかったわけです。
 阿部首相はかねてから、名目GDPの600兆円への増加を、長期的な経済政策の大きな目標に掲げてきました。今回のGDP上方改定によって、その実現が射程距離に入ってきたようです。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏によると、「1.6%の成長なら23年度には600兆円に届き、荒唐無稽な目標ではなくなった」と言っています。
 また、今のシリーズの第7回で、最近日銀の研究者が新しい経済データに基づいて、内閣府よりかなり高めのGDP推計を公表して注目されたことを紹介しました。とりわけ消費関連のデータの捕捉が不十分ではないかとの批判が出ていました。内閣府ではこうした指摘をも参考にして、GDP推計手法の改善策を模索してきました。この作業が最近まとまり、12月13日に主な改善点が公表されました。12月14日の日本経済新聞紙によると、その結果は次の通りです。

          内閣府の案が示した統計改善の例

  統  計           内容(実施時期)
家計調査       オンライン家計簿導入(2018年1月)
法人企業統計    会計ソフトと連動、公表早期化(19年度)
建築物リフォーム・
 リニューアル調査 四半期ごとに調査、GDPに反映(16年度)
訪日外国人消費 
 動向調査      調査規模を2倍に拡大(16年度から予備調査)
消費者物価指数  ネット通販価格の把握(18年度までに結論)
 (出所)日本経済新聞2016年12月14日朝刊            」」

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