SSブログ

主要な価値創造モデルとその評価(88):戦後日本のドル収入最大化モデルー34

 戦後一貫して資本コスト割れ経営を行ってきた日本企業でしたが、前回はバブル崩壊後の90年代には収益性が一段と低下したことを紹介しました。実際、世紀の変わり目に当たる2000年―2001年にかけては、東証1部企業全体の利益が、マイナスに落ち込んでしまったのです。そこで、今世紀に入って日本企業の資本利益率がどのように推移してきたかを、大企業のROEで見ておきましょう。
   日本の大企業のROEの推移
     単独   連結         単独   連結
2001  -0.4  0.4     2007  8.3    9.8
2002   2.6  4.4     2008 -1.1   -1.6 
2003   4.6  7.1     2009  2.1     2.5
2004   5.5  8.6     2010  4.3     6.7
2005   7.3  9.6     2011  2.9     4.1
2006   7.5  9.9
(出所)日本政策投資銀行

 今世紀に入って、わが国にも遅ればせながら「株主価値重視経営」が浸透し始めました。これは何もわが国企業の経営者が急に株主の重要性に気が付いたというよりは、メインバンク=大株主制度が崩壊したためです。これまで長年、低収益経営でもよほどのことがない限りメインバンク依存で資金繰りの心配がなかったわけです。しかし主要な大銀行がすべて、不良債権処理の過程で債務超過に陥り、国家管理になりました。その結果、企業にとっては戦後初めて、本業から生まれる営業キャッシュフローをいかに安定的に稼ぐかが、まさにサバイバル条件になったのです。そのためには本業の収益性を高めて利益を生み出し、株式市場での評価を高めなければならないことに気が付いた結果なのです。失われた10年と言われた1990年代から2000年代の初めにかけて、多くの日本企業は未曽有の規模で事業ならびに財務のリストラを行い、経営資源の「選択と集中」に努めたのでした。
 これを反映して、わが国大企業のROEは、今世紀に入って目覚ましく改善してきました。平均ROEは2001年に
は単独ベースでマイナスに、連結ベースでもほとんどゼロに落ち込みました。しかしそれをボトムとして年々上昇し、2007年には単独で8.3%、連結では9.8%と、2桁まであと1歩のところまで高まったのです。
 ただ、2008年にはあのリーマンショックに伴う株式市場の大暴落と、それに続く世界的な不況が始まりました。その影響で2011年ごろまでわが国企業の平均ROEは、再び低迷することになりました。そして最近2-3年には再び連結ベースで8-9%の水準まで持ち直したのです。」」
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。